【徹底検証】こども家庭庁は本当に無駄なのか?税金の使い道を追う

1.こども家庭庁の目的と役割

こども家庭庁は2023年4月に発足した、子どもと家庭を中心に据えた政策の司令塔です。それまで厚生労働省・文部科学省・内閣府など複数の省庁に分散していた子育て支援、教育、虐待防止、少子化対策などを一元化し、行政の縦割りをなくすことを目的としています。

発足背景には、少子化の深刻化があります。出生数は2023年に約75万人と過去最低を記録。こうした状況を受け、「子どもを真ん中にした社会」を掲げ、政策の抜本的見直しを進めています。

2.予算規模は7兆円超 税金の使い道とは

こども家庭庁関連の2025年度予算案は、一般会計で約4兆2,367億円、子ども・子育て支援特別会計で約3兆903億円、合計約7.3兆円にのぼります。この金額は、防衛費(約8兆円)に次ぐ規模であり、国の重点政策として扱われていることがわかります。

主な支出の内訳は以下の通りです。

  • 保育所・学童クラブ運営費:約2兆5,300億円
  • 児童手当:約2兆1,200億円
  • 育児休業給付金:約1兆600億円
  • 授業料軽減・奨学金支援:約6,500億円
  • 保育士の待遇改善・ICT導入支援:約1,900億円

また、2024年度から児童手当の所得制限撤廃と支給対象の高校生年代までの拡大が進められ、多子世帯には上乗せ支給も行われています。これらの施策は「子育て世帯の生活支援」「教育格差の是正」「保育現場の人材確保」といった課題に対応するものです。

3.どんな成果が出ているのか?

こども家庭庁が進めた政策の中で、いくつかは確かな進展を見せています。まず、育休取得率の上昇。男性の育児休業取得率は2022年度に17.1%まで上がり、過去最高を更新しました。制度面の周知や給付金拡充が追い風となっています。

また、保育現場ではワンストップ・オンライン化の推進が進み、保育所入所申請などの手続きが簡素化。自治体間でのデータ連携も始まり、事務負担が軽減されています。

さらに、地方自治体が独自に展開する「新婚家庭支援」「結婚マッチング支援」「子育て応援交付金」などの取り組みも活発化しており、国の司令塔機能が一定の成果を上げている面も見られます。

ただし、最重要指標である出生数の回復については成果が見えていません。2024年の出生数は過去最低を更新する見込みで、「施策は打たれているが、効果が実感できない」との声が多く上がっています。

4.「無駄」と言われる理由

こども家庭庁を「無駄」と批判する声の多くは、成果の見えにくさと予算規模の大きさにあります。まず、予算の大半が既存制度の延長であり、新規性の乏しさが指摘されています。児童手当や保育支援は以前から存在しており、「こども家庭庁になって何が変わったのか」が不明瞭だという声です。

また、「司令塔」としての調整機能に限界がある点も批判されています。実際には厚労省や文科省の管轄事業が多く残り、現場では「結局どこが決定権を持つのか分かりづらい」という混乱が生じています。

さらに、成果の“見える化”が遅れている点も問題視されています。例えば、「保育士の処遇改善」「待機児童数の減少」「子どもの貧困率の改善」などの数値目標が明確に公表されていないことが、「無駄ではないか」と言われる一因です。

5.今後の課題と改善の方向性

こども家庭庁を「無駄な組織」にしないためには、3つの改革が必要です。

  1. 成果指標の明確化と公開:どの政策がどの程度成果を上げたのかを数値で示し、税金の使い道を国民が把握できるようにすること。
  2. 縦割り行政の完全な打破:こども家庭庁が真の司令塔となるには、厚労省・文科省など他省庁の権限を実質的に統合する必要があります。
  3. 現場主導の政策形成:保育士・教員・地方自治体・NPOなど、子どもに直接関わる人々の意見を政策に反映する仕組みを強化すること。

これらを実現できれば、こども家庭庁は単なる“予算分配機関”ではなく、実効性ある社会改革の中心になり得ます。

まとめ

こども家庭庁は、子どもと家庭を支えるために設立された重要な機関であり、その理念自体は決して無駄ではありません。しかし、7兆円超という巨額の税金を投入している以上、国民が「成果を実感できる」ような透明性と説明責任が欠かせません。

現状はまだ「スタートライン」に立った段階。制度の整備や仕組みづくりは進んでいるものの、少子化という結果には直結していません。今後は、“お金を使った”ではなく“何を変えたか”を示す政策運営が求められます。

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